作動圧力差について
CO2添加電磁弁のお話-1の復習になりますが電磁石が間接的に弁を可動させるタイプの
ソレノイドバルブ(電磁弁)は通電すると電磁石が小さな空気穴を開通させ、本来、通り抜けるだけの圧縮空気の圧力を
使って真ん中の軸を押して開閉を行います。
つまり、供給側と排出側(もしくは周囲の大気圧)との圧力の差を利用して開閉しています。
その圧力の差を「作動圧力差」といいます。
世にあるこの方式の多くのソレノイドバルブは最低作動圧差や最低供給圧力0.15MPa以上を求めていますので
(「0.15MPaって?」と思った方は「圧力のお話」をお読み下さい)
その近傍の低圧では不安定になりますし供給圧力が0.15MPaを下回れば開閉出来なくなります。
低圧であるCO2添加で考えますと供給ボンベ内圧が十分な時は使用上問題ありませんが、ボンベ内圧が0.15MPa以下に
なったところでいくら通電してもソレノイドバルブは閉まったまま動かなくなります。
0.15MPaではボンベ内に残るCO2がかなり無駄になる訳です。
DTAソレノイドバルブS1の場合はこの圧力差が0.01MPaの低圧差で可動します。約100g/cm2のCO2は残圧として
残りますが残圧としては無視してもよい程度ではないかとDesk Top AQUAでは考えます。ただ、その残圧も無視出来ない
との考えも当然ある訳で、その場合は直動式(DTAソレノイドバルブS2)の使用をおすすめします。
Sシリーズ温度測定
■DTAソレノイドバルブS1■温度測定
DTAソレノイドバルブS1を連続通電して1時間ごとに5時間までソレノイド(電磁石)部の表面温度の測定をしてみました。
1時間目平均32.6℃(最高値33.1℃)
2時間目平均32.5℃(最高値33.3℃)
3時間目平均32.7℃(最高値32.9℃)
4時間目平均32.8℃(最高値33.4℃)
5時間目平均32.6℃(最高値32.7℃)
温度計の測定端子の接触の仕方でも多少温度のばらつきが出ますが
1.最高温度には1時間以内で達する。2.時間によっての上昇は認められない。
以上、非常に低温で安定している結果は見て取れます。(室温20℃)
■DTAソレノイドバルブS2■温度測定
DTAソレノイドバルブS2を連続通電して1時間ごとに5時間までヒートシンクカバー表面とソレノイド部の表面温度の測定をしてみました。
ヒートシンクカバー表面
1時間目平均32.4℃(最高値32.7℃)
2時間目平均31.9℃(最高値32.3℃)
3時間目平均32.8℃(最高値33.2℃)
4時間目平均32.7℃(最高値32.9℃)
5時間目平均32.8℃(最高値33.1℃)
ソレノイド部側面
1時間目平均38.7℃(最高値38.9℃)
2時間目平均38.7℃(最高値38.9℃)
3時間目平均38.9℃(最高値39.3℃)
4時間目平均39.2℃(最高値39.5℃)
5時間目平均38.7℃(最高値38.9℃)
温度計の測定端子の接触の仕方でも多少温度のばらつきが出ますが
1.最高温度には1時間以内で達する。2.時間によっての上昇は認められない。
以上、ヒートシンクカバー表面は非常に低温で安定しており、
発熱源であるソレノイド部もヒートシンク無しから概ね8℃程の
温度低下して安定している結果は見て取れます。(室温20℃)
*「DTAソレノイドバルブ」をご使用していただく際にこの測定結果温度を
保証するものではありません。あくまでも実験結果の公表です。ご使用に際し、室温、直射日光等、季節などの
影響で大きく変化する場合も考えられます。ご承知ください。
■付録:添加調整例■
元圧→レギュレーター→ソレノイドバルブS1→6mmから4mmに変更→スピードコントローラー
→水深20cmに点滴添加
実際はチェックバルブ(逆流防止弁)やバブルカウンターなどが入ったり、4mmに変更しないシステムが
考えられますが添加調整は同じですので模擬システムとして構成しました。
1:レギュレーター調整
論理的には0.02MPa程度の圧力があればCO2添加は出来るのでシビアに低圧に絞るような
調整をしがちですが実際はシステム内を安定させる意味で0.05MPaあたり、で調整します。
最終的にスピ・コンで流量調整を行いますので多少はラフで大丈夫です。
(多くのレギュレータにはロック機構がありますので調整後は必ずロックしてください)
:ロック解除 :ロック状態
注意:レギュレーター調整はつまみを回転させて行いますが、
必ず「全閉」状態(圧力計0MPa)から開ける方向(加圧方向)で調整してください。
圧力を抜く方向(減圧方向)につまみを回転さて調整すると内部残圧の影響で
圧力計は間違った値を指します。
2:スピードコントローラー調整
レギュレーター調整と同じくスピコンも「全閉」状態から調整します。
構造的に「ネジが戻りやすい」ので「上手く調整したつもりで手を離したら変わってしう」
ことはありがちです。コツとしては調整つまみを軽く引張りながら開ける方向(流速を上げる方向)
で目的の量に調整します。ロックネジがあるスピコンでは最終位置付近でロックネジを仮止めして
調整するほうが楽だと思います。
スピコン前後のチューブは耐圧チューブを使用し出来るだけチューブラインを短くすることが
調整が楽になるコツであり、調整後の変化を少なくするコツでもあります。
スピコンの前、ソレノイドバルブ〜スピコン間の距離が長いとバルブを閉めてから
チューブ内の残圧の影響が長引きます。具体的にはバルブを閉めてから数分〜数十分の
スパンでCO2添加が続きます。
スピコンの後、スピコン〜排出間も距離が長いと気圧、気温、などの外因の影響を受けやすくなり、
つまり点滴が不安定になりやすくなります。
妥協できる範囲で配管系は最短にしておきましょう。